「見はらし世代」離ればなれの家族の「再会」描く

「見はらし世代」の一場面(ⓒ2025 シグロ/レプロエンタテインメント)

 離ればなれになってしまった家族が、再会を果たすまでを描いたドラマ。
 ランドスケープデザイナーの初(はじめ)(遠藤憲一)は家族旅行の途中で、仕事に戻るよう連絡を受ける。水入らずの時間を大切にしてほしいと願う妻由美子(井川遥)との間に亀裂が生じる。
 それから約10年。由美子はすでに故人となっていた。初は仕事に没頭して海外で活躍する一方、子供の蓮(黒崎煌代(こうだい))や恵美(木竜麻生(きりゅうまい))と長く連絡を取っていない。コチョウランを運ぶ仕事に就いていた蓮は、ある運搬先が目に留まり、配達したいと希望する…。
 団塚唯我監督の長編デビュー作。5月の第78回カンヌ国際映画祭「監督週間」で上映された。
 家族の距離を測り直そうとする蓮に対し、父は「過去は昇華された」と周囲に漏らし、姉の恵美は「過去と向き合う必要はない」とこぼす。関係修復を諦めようとしている親子だが、そこには澱(おり)のように残っていた思いがあった。
 舞台は団塚監督の父親栄喜さん(ランドスケープデザイナー・佐伯市出身)が再開発に携わった東京都渋谷区。景色やそこに集まる人など、大きく様変わりしていく都市の姿を丹念に盛り込みながら、変わりゆく人間関係や変わらない思いを描いている。

 シネマ5で11月1日(土)~7日(金)の午後2時50分。1、3、5日は同7時半も上映する。

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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