大分県はにぎわい創出ができるスポーツ施設の検討を本年度から始めている。全国の自治体ではプロチームの公式試合が開かれる野球やサッカーのスタジアムを整え、商業施設、ホテルを併設して交流人口増加に成果を上げる例が出ている。県内の老朽化した施設の改修、新設を求める関係団体の声もある。民間企業に委託した調査結果を基に、年度内に議論の方向性を出す方針。
国はスポーツ庁が集客力を向上する「スタジアム・アリーナ改革」推進の方向性を打ち出している。県も昨年度に策定した総合計画に「まちづくりや地域活性化の核となるスタジアムなどの実現」の文言を盛り込んだ。
北海道は2023年にプロ野球日本ハムの本拠地・エスコンフィールド、長崎県では24年にサッカーJ2長崎が使う新スタジアムが開業し、ともに商業施設や宿泊施設も建てられ、多くの集客を実現している。
大分県内で最大の施設はクラサスドーム大分(大分市)で、J2大分トリニータやラグビーの試合など多目的に使われ、4万人を収容できる。8月には人気アーティストのライブも開かれたものの、「日常的に人が訪れる回遊性には乏しく、交通アクセスの改善も課題」(県)という。
県内のスポーツ施設は老朽化も進む。代表的な野球場である別大興産スタジアム(大分市)は1980年の完成から45年が経過。屋内練習場がないなどの理由もあり、大分県はプロ野球の公式試合を開けていない。県高野連などでつくる団体が、新スタジアム建設の要望活動を続けている。
野球場に限らず、水泳でも競技大会を開きやすいように、屋内の50メートルプールの建設を求める声がある。
県は4月にスポーツ振興課を新設し、協議を本格化した。全国のスポーツ施設に知見のあるコンサルタント会社に委託し、県内の実情や、望ましい施設の在り方などを調べている。
佐藤樹一郎知事は9月の定例県議会で「県と市町村との適切な役割分担を念頭に、大分の元気づくりにつながるよう、スポーツ施設の在り方の検討を進めたい」と述べた。