九重ふるさと自然学校「草花咲く50年前の草原に」 県などと保全プロジェクト始動

草原で刈った草を集める参加者=九重町田野の九重ふるさと自然学校

 【九重】九重町飯田高原の自然や暮らしに根差した文化を学べる「九重ふるさと自然学校」(同町田野)で、約7ヘクタールの敷地内にある草原の保全を強化し、希少な草花をより多く咲かせるプロジェクトが始まった。担当者は「数年かけて、50年前の草原の姿を再現したい」と意気込んでいる。
 同施設によると、草原は牛馬の放牧や採草、野焼きによりススキの成長が抑制され、地面まで日光が当たることで多くの草花が咲き競う生物多様性を維持してきた。近年は草の利用が減ったことからススキの丈が伸び、オミナエシやリンドウ、キスゲなどが減っているという。
 このため、夏から秋に草を刈ることで地中に蓄えられる養分を減らし、ススキの成長を抑えている熊本県阿蘇地域での取り組みを参考に、飯田高原野焼実行委員会や大分県、町とプロジェクトを始めることにした。
 9月上旬、関係者や県内外のセブン―イレブン経営者ら約90人が集まり、約1200平方メートルであらかじめ刈っていた草を集める作業に汗を流した。
 草は有機石灰と交ぜて「野草堆肥」にする予定。担当する同施設の指原孝治さんは「3年ほど続けると、ススキの丈が低くなるという。作業をしない草原と比較し、効果を検証したい」と話している。

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