国の法制審議会が進める危険運転致死傷罪の見直しで、重要なポイントとなる「数値基準」の素案が明らかになった。車の速度と飲酒運転について示された数字をたたき台にして詰めの議論に入る。現行の法律は、危険運転を認定する条件がはっきりせず、大分市の時速194キロ死亡事故をはじめ全国の被害者遺族から明確化を求める声が上がっている。
素案では、高速度の事故は一般道など(最高速度60キロ以下)と高速道など(同70キロ以上)で基準を分けた。一般道は超過速度を▽A案 40キロ▽B案 50キロ―で、高速道は▽A案 50キロ▽B案 60キロ―としている。
超過速度が数値を多少下回った場合でも、事故の状況によって「重大な交通の危険を回避することが著しく困難」と判断すれば、危険運転罪を適用できるようにする。
飲酒運転の基準は、呼気1リットル中のアルコール濃度について▽A案 0・25ミリグラム以上▽B案 0・50ミリグラム以上―と提案した。数値基準を満たせば例外なく危険運転罪が成立する。基準に達しなくても、現行法が定める「正常な運転が困難」なケースとみなされれば、危険運転になる。
現行法は対象となる事故を8パターンに分類。スピードに関しては「進行を制御することが困難な高速度」、飲酒運転については「アルコールの影響で正常な運転が困難」と条文で規定しているが、適用範囲の曖昧さが指摘されており、数値での明確な線引きを検討している。