五條堀さん行方不明9年、父親「娘に何としても会いたい」 今年の情報提供は3件、風化懸念

「自分が生きているうちに見つけ出したい」と語る父親=9月、福岡県久留米市

 大分市横尾のアパートで1人暮らしをしていた元会社員五條堀美咲さん(33)が行方不明になって25日で9年がたつ。県警はこれまでに延べ約5万3千人を投入して捜査を続けているものの、有力な手がかりはつかめていない。毎年9月にアパート周辺などで実施しているチラシの配布を今年は26日に予定しており、改めて情報提供を呼びかける。
 「何も進展がなく、もう9年になる。娘に何としても会いたい」。五條堀さんの父親(71)は今月上旬、福岡県久留米市の自宅で大分合同新聞の取材に応じ、悲痛な胸中を明かした。
 「世の中は日々変化していくが、家族は娘の顔を見られないまま、ただ時間が過ぎていく。警察の力を信じるしかない」。いつ大事な連絡があってもいいように、携帯電話は肌身離さず持っている。毎年のチラシ配りに自ら参加できるよう、日課のウオーキングで体力の維持に努めているという。
 失踪直後の五條堀さんの部屋は、洗濯物が干され、布団も敷かれたままだった。「ちょっと出かけた感じで、自ら行方をくらませたとは到底思えない。事件に巻き込まれたのではないかとどうしても考えてしまう」と声を落とす。
 大分県警によると、五條堀さんの姿が最後に確認されたのは2016年9月25日午後11時半ごろ。自宅アパートで友人の女性と会っていた。翌26日午前1時過ぎまで、女性らとLINE(ライン)でやりとりをしていたことも分かっている。
 その後、同午前6時前に自宅周辺でスマートフォンの位置情報が途絶えており、何らかの原因で使用不能になったとみられる。大分市内の職場に出勤しなかったことで失踪が判明した。
 県警は10月6日、「事件や事故に巻き込まれた可能性が高い」として、公開捜査に踏み切った。部屋に荒らされた形跡はなく、外出時にトラブルに巻き込まれた可能性もあるとみている。使用していたバッグやスマホは依然として見つかっていない。
 県警は現在も25人態勢で捜査を続けている。今年8月末までに寄せられた情報は計332件。今年に入ってからは3件にとどまり風化が懸念される。
 父親は「自分が生きているうちに見つけ出したい。いま一度記憶を掘り起こして、どんなささいなことでもいいので情報提供をお願いします」と訴えた。

<メモ>
 五條堀美咲さんは身長149センチ。所持していたとみられるバッグ(縦17センチ、横20センチ、高さ23センチ)はグレーで、タッセルと呼ばれる飾りとポーチが付いている。スマホはアイフォーン6sのゴールド。情報提供は大分東署(097-527-2131)。

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