大分県立美術館で15日まで「大分二紀展」 絵画25点と彫刻12点、モチーフも表現手法も多彩

大渡尚己「断末魔・Buddha」

 大分二紀展2025が大分市寿町の県立美術館で開かれている。15日まで。入場無料。二紀会大分支部の作家19人が絵画25点と彫刻12点を出品している。二紀会理事で東北芸術工科大副学長の木原正徳さん(山形市)による講評を紹介する。

 =総評=
 完成度が高く、モチーフも表現手法も多彩。彫刻作品がここまで並ぶ支部は珍しく、絵画と併せて充実した展示空間をつくっている。
 =個評=
 【絵画】▽池部俊之 空と惑星がモチーフ。うねりのリズム、逆光のトーンなど神経が行き届いている▽井田孝子 街角の風景。建造物の直線を描き分け、陰影の階調で独特の世界をつくり上げた▽伊藤陽子 背景の陸橋と手前の人物が斜めに交差する構図が面白い。光もきれい▽井元千穂子 ハスの葉と水面との接点がポイント。丁寧な描写、全体の色調も美しい▽大渡尚己 メカニックな質感を巧みに表現。奥行きのある構成が鑑賞者を絵に引き込む▽川上英明 裸の女性と極彩色のユニークな画面。イラスト的な部分の切れ味がいい▽首藤宏道 軽快な筆の動きが心地いい。大地と木のモチーフが絵画の成り立ちを明快に伝える▽竹内昭文 生き生きとした子どもたちの様子。おもちゃ箱をひっくり返したような面白さがある▽新井川久恵 古木と新芽の対比が生きている。柔らかな明暗の調子で豊かに▽西村治美 聖母子像を鉛筆で。細部を描かず、余白が絵のバランスを作った▽平松和子 カッパの世界。肌の独特の質感や、団子状にからまった構図が新鮮で面白い▽堀佐和子 自画像を前面に出しテーマを方向転換。いい判断。人物の姿勢から覇気が伝わる▽八坂健司 人物に技巧の確かさが見える。老母に対する思いが、絵画に昇華している▽山崎哲一郎 縦型に積み上がった化石や骨が、現代の不穏を感じさせる。わずかな赤色がアクセントに。
 【彫刻】▽金村孝之 木々の上に大地がのった像。構造、着色すべてのバランスが整っている。小さなオブジェもかわいい▽辛島早苗 子供の小作品だが、お人形のようにならずスケール感が伝わる。確かな力量▽芝田知明 ステンレス溶接による、異なる表面の凹凸が目を引く。次の展開を期待させる▽岶謙吾 美しく清潔感がある。2人の人物と余白の構図が動きを生んだ▽溝口晴美 人物の量感が感じられる。形態、表情が素朴で魅力的。白の着色もいい。

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