大分県が二酸化炭素の排出枠販売へ新組織設立 県内事業者の削減量集約し収益を還元

県庁舎の屋上にある太陽光発電設備。県は事業者に「大分カーボンクレジットクラブ」への入会を呼びかけている=大分市

 脱炭素の推進に向けて、県は県内事業者を対象にした組織「大分カーボンクレジットクラブ」をつくった。工場や事業所に設置した太陽光発電設備の二酸化炭素(CO2)削減量をとりまとめ、クレジット(排出枠)を大企業などに販売。収益を会員事業者に還元する。同様の取り組みは愛媛県に続いて全国2例目。
 国が温室効果ガスの排出削減をした企業にクレジットを発行する「J―クレジット制度」を活用する。
 クラブは大分県と県内金融機関などが組織した。入会は県内に事業所などがある法人や団体、個人事業主が対象。太陽光発電設備の設置から2年以内(導入予定も可)で、一部でも自家消費していることが条件となる。
 自家消費分のクレジットを集約し、クラブが大手企業や自治体に販売。収益は年1回、会員に分配する。現時点の取引相場では、出力50キロワットの設備で2万~3万円ほどという。
 CO2削減を経済価値に変えることで、各事業者に脱炭素の意欲もさらに高めてもらいたい考え。
 入会は県の補助金を利用して設備を設置した事業者への声かけや、金融機関の紹介で募る。クラブの専用フォームでも受け付ける。
 2026年度からCO2排出量が多い大企業には、排出量取引制度への参加が義務化される。削減量の自社目標を達成するため、クレジットを購入するニーズが高まる可能性がある。
 佐藤樹一郎知事は「大分県は50年までに(温室効果ガスを実質ゼロにする)カーボンニュートラルを目指している。県内の中小企業にも一翼になってもらえる仕組みにしたい」と話している。

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