【玖珠】現地取材を基にした細やかな描写と、大胆なデフォルメを施した観光鳥瞰(ちょうかん)図を数多く手がけた絵師吉田初三郎(1884~1955年)の作品展「美の国、日本を描く」が、玖珠町森の久留島武彦記念館で開かれている。久留島と親交があった吉田の没後70年企画で、約100点が並ぶ。9月28日まで。
京都出身の吉田は、地元百貨店の友禅図案部の職工として画業をスタート。日露戦争から復員後は洋画を学び、商業美術の道へ進んだ。1913年、京阪電鉄の依頼で描いた初の観光鳥瞰図が皇太子(後の昭和天皇)の目に留まったことで注目を浴び、独立した。
全国の観光地へ赴いてスケッチし、弟子たちとの分業で多い年には約100点の鳥瞰図を制作。印刷することを意識した力強い構図は「初三郎式」と呼ばれ、昭和初期の旅行ブームをリードしたという。
作品展は、吉田の研究者で近現代史研究家の益田啓一郎さん(58)=宇佐市出身、福岡市在住=らが出展に協力した。鳥瞰図は別府観光の父油屋熊八とタッグを組んで作った別府や耶馬渓をはじめ、湯平温泉、日田など。リーフレットやポスター、びょうぶなどに描かれ、一部は拡大して迫力を感じる展示にしている。
他に、旧玖珠町が27年に町制施行した際に依頼した図や、35年に日田で開かれた久大線の全線開通を祝う催しのポスターなども。
益田さんは「取材で印象に残ったものは大きく描くなど、スケッチをしたからこそできた作品。飯田高原に魅せられ、『長者賀原』や『九州アルプス』と名付け紹介したりしていた。ぜひ見てほしい」と話した。
開館は午前9時半~午後4時半。月曜休館。入館料は町内者150円、町外者300円、高校生以下無料。問い合わせは同館(0973-73-9200)。