全国高校野球、明豊が16強入り 佐賀北に6―1で快勝、17日に県岐阜商と3回戦

【明豊-佐賀北】先発で力投した大浦=甲子園球場

 全国高校野球選手権大会第10日は15日、甲子園球場で2回戦が行われ、県代表の明豊は第3試合で佐賀北との九州勢対決に臨んだ。中盤以降に投打の歯車がかみ合い、6―1で勝利した。
 明豊は第12日の17日、3回戦第4試合で県岐阜商と8強入りを懸けて戦う。

 ▽2回戦
明豊
000031020|6
000010000|1
佐賀北(佐賀)

 【評】明豊が中盤で佐賀北のエースを攻略し、3回戦に駒を進めた。
 明豊は五回、先頭加納のチーム初安打を皮切りに1死満塁の好機を築き、辻田の走者一掃の中越え適時二塁打で先制。直後に1点を返されたが六回に1点、八回にも藤からの4連打などで2点を加え、突き放した。
 投げては大浦、大堀、寺本の3本柱の継投で1点に抑え切った。

■3本柱粘投、野手も好守でもり立てる
 打たせて取る―。鍛え上げた堅守を誇る明豊の真骨頂が、大舞台で花開いた。主力3投手が継投し、バックがもり立て、最少失点で3年ぶりの夏16強入り。川崎絢平監督も「継投は予定通り。いい粘りだった」と口元を緩めた。
 「大分大会決勝の再現」をテーマに先発の大浦崇輔(3年)は140キロ超の速球で押した。球は走っていたが、三回1死一、二塁とされた場面で「やや変化球が抜け始めていた」と川崎監督がいち早く大堀羚斗(同)にスイッチ。なおも満塁とされた最初のピンチで、二塁手林亮佑(同)が見せた。
 強烈な低いゴロを捕球すると、「正面に入れなかったので反射的に動いた」と体を反転させながら送球。流れるようなプレーで併殺を成立させ、先制を阻んだ。
 大堀が独特な変化球で相手打線を翻弄(ほんろう)して1失点にしのぐと、六回途中からは頼れるエース寺本悠真(同)が3番手で登板。走者を背負いながらも、「バックを信じて際どいコースを突けた」と淡々と投げ抜き、3回戦進出につなげた。
 五回終了後、突然の雷雨で約1時間中断し、試合時間は3時間半に及んだ。それでも集中力を切らさず、やるべきことをやり切り、「凡事徹底」を貫いたナイン。甲子園で今夏2度目の校歌を歌う表情は涼しげだった。

■辻田、捕手の読みで3点適時二塁打
 緊張の打席で捕手ならではの緻密な思考が光った。互いに無得点で迎えた五回、1死満塁から走者一掃の二塁打を放って勝利を引き寄せた辻田拓未(3年)は「バットの少し先だったが、越えてくれて本当に良かった」と最高の笑顔を見せた。
 第1打席は厳しく内角を攻められて死球を受けた。絶好機で迎えた第2打席。「自分ならインコースは絶対ない。アウトコース一択」と読み切り、外角の直球を完璧に捉えた。打球は前進守備の中堅手の頭上を越え、待望の先制。二塁上で力強く右拳を突き上げた。
 春まで不動の正捕手だったが、大分大会は準決勝までスタメンを外れていた。「自分に欠けているもの」「今、するべきこと」。自問自答を繰り返し、ひと皮むけた。
 甲子園初戦に続いて先発マスクをかぶり、3投手の良さを存分に引き出した。計11安打を浴び、三者凡退に抑えたのは八回のみ。決して楽な試合ではなかったが、最少失点に抑えたのは成長の証しだ。
 「次もしっかりと対策して失点を抑え、勝利に導く」。チームが目指す「考える野球」の体現者には、甲子園のビクトリーロードが見えている。

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