「蔵のある街」花火打ち上げに奮闘する少年たちの青春物語

古い町並みが残る岡山県美観地区を舞台にした「蔵のある街」(ⓒ2025つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会)

 古い町並みが残る岡山県倉敷市美観地区を舞台に、打ち上げ花火を上げることを約束した少年たちの奮闘を描いたドラマ。
 高校生の蒼(山時聡真)と祈一(桜井健人)は、幼なじみの紅子(中島瑠菜)の兄で、自閉スペクトラム症を抱えている恭介(堀家一希)が木から降りてこないという現場に出くわす。蒼は恭介に打ち上げ花火を見せることを持ちかけ、降りてきてもらうことに成功する。その様子を見ていた紅子は、怒りをあらわにする。兄がかないそうもない適当な約束を信じ続け、傷ついてしまうことが分かっていたからだ。
 紅子の思いを知った蒼たちは、花火打ち上げを実現すべく行動を起こし始める。学芸員の古城(高橋大輔)の協力を取り付け、力を貸す条件として100人分の署名を集めるというミッションが求められる。当初はたやすいことだと高をくくっていたが、ただ声をかけるだけの2人を信用する人もおらず…。
 人のために行動することは素晴らしい。だが、相手の気持ちを考えず、その場の勢いに任せて行動するのは別物だ。独善的で中途半端な行動を見せていた少年たちが、心から「花火を上げたい」と動き始めた時、さわやかな青春物語が動き始める。
 そして、親子のあり方を考えさせてくれる作品でもある。子どもたちが熱意を見せた時に、大人は厳しい現実を教えるべきか、無謀でも背中を押してあげるべきか。
 親子で観賞して、青春について熱く語り合ってみては?

 シネマ5bisで23日(土)~29(日)の午前10時、午後4時。(この日程以外も上映あり)

 ◇ ◇ ◇

 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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