「事業承継を後押し」別府市や経済団体など9者連携 経営者の情報共有、第三者への譲り渡しを支援

連携協定の締結式で記念写真に納まる9団体の代表=7月、別府市役所

 【別府】別府市内の中小企業・個人事業主の事業承継を後押ししようと、市や地元経済団体、地銀など9者が連携を始めた。身内に後継ぎがいない経営者の情報を共有し、第三者への譲り渡しを支援する。それぞれの顧客網を引き合わせに生かす。
 市以外の連携団体は▽別府商工会議所▽大分銀行▽豊和銀行▽大分みらい信用金庫▽県信用組合▽日本政策金融公庫別府支店▽県事業承継・引継ぎ支援センター▽市産業連携・協働プラットフォーム「ビービズ・リンク」―。7月中旬、市役所で協定を結んだ。
 各団体は普段の営業活動を通じ、後継者不在の事業者を把握している。経営の先行きなど機微に触れる可能性があり、組織外への情報提供は難しかった。協定により、事業者の承諾が得られた範囲で垣根を越えて共有する。
 支援を想定しているのは、飲食店や小売店、旅館の経営者に「2代目」「3代目」が見つからず、株式譲渡や事業譲渡による「第三者承継」を模索しているケースなど。対応が必要な案件の掘り起こしは金融機関、課題整理は県事業承継・引継ぎ支援センターが担うなど得意分野を生かす。
 承継相手を探す事業者を一覧にして公開する構想もある。事業内容を広く発信し、マッチング候補の登場を待つ仕組みだ。
 市は本年度、事業を譲り受けた側が店舗改修などに使える補助金(上限100万円・補助率2分の1)も新設した。事業承継に関わる双方へのサポート態勢を整えたことになる。
 市は2023年度、支援施策の基礎資料にしようと、中小企業など市内の3866事業者にアンケートを実施(860事業者が回答)。「後継候補がいない」など現状では廃業につながるケースが27・5%(236事業者)に上った。
 市の産業振興はこれまで創業支援、企業誘致がメインだった。事業承継は「廃業というマイナスを減らす第三の対策」(市産業政策課)に当たるが、手薄だったという。
 長野恭紘市長は協定締結式で「この10年間、飲食店を中心に廃業が続いている」と事業承継を促す必要性を強調。「市がハブになり、産業を底から支える」と決意を述べた。

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