全国高校野球選手権大会第5日は9日、甲子園球場で1回戦が行われ、県代表の明豊は市船橋(千葉)を6―2で下し、3年ぶりに夏の甲子園で1勝を挙げた。
明豊は第10日の15日、2回戦第3試合(13時)で佐賀北との九州勢対決に臨む。
▽1回戦
明豊
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市船橋(千葉)
【評】投打に躍動した明豊が6―2で市船橋を下し、初戦を突破した。
明豊は三回、四球と敵失など無安打で2死二、三塁とし、藤の中前2点適時打で先制。五回にも2死から寺本、井上、藤の3連打で2点を加え、試合の主導権を握った。
先発寺本は打たせて取る好投で七回まで1失点。八回は大浦に譲ったが最終回に再登板し、相手の反撃を封じた。
■エース寺本「小さな巨人」が躍動
伝統の堅守からリズムをつくった明豊が3年ぶりの夏1勝。九回の再登板を含む合計8回を1失点に抑えて勝利に貢献したエース寺本悠真(3年)は「打たせて取る自分らしい投球ができた」と声を弾ませた。
投手陣3本柱の中で川崎絢平監督が大事な先発を託したのは、昨春のセンバツ1勝に貢献した左腕だった。「春の投球を再現してほしい」との期待を背負い、鍛え抜かれたバックに支えられ、171センチ、67キロの「小さな巨人」が躍動した。
普段の遊撃から三塁に入った「名手」が初回から見せた。三塁線に抜けそうな低いライナー性の打球を藤翔琉(2年)が横っ跳びでキャッチ。球場も一気に沸く好守でエースを救った。
立ち上がりは打線にやや硬さがあった。三回は先頭が四球出塁したものの、2者連続で送りバントを失敗。嫌な雰囲気も漂う中、相手のミスで二、三塁とすると、「寺本さんを楽にしたい」と藤が勝負強く中前にはじき返し、重たい空気を打ち破った。
これで打線は勢いづき、五回には再び2死から寺本の安打を機に井上太陽(3年)の右越え適時三塁打で3点目。なおも藤が3打点目となる右中間適時打で突き放した。
ただこれで終わらないのが甲子園。大歓声が熱を帯びる独特の雰囲気の中、終盤は守備にほころびも出た。それでも7回1失点で一塁に回っていた寺本が九回のマウンドへ。最後の打者を遊飛に打ち取ると、クールな表情が一気にほぐれた。
聖地の夏の夜に校歌が流れたのは午後9時半過ぎ。理想的な展開で難敵を下し、川崎監督は「大分大会で破ったチームのためにも、何が何でも勝ちたかった」と胸をなで下ろした。
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全国高校野球選手権大会の大会本部は9日、天候不良が予想されるため、甲子園球場で10日に行われる予定だった第6日の4試合を11日に順延すると発表した。その後の日程も1日ずつ順延され、決勝は23日となる。