「私たちが光と想うすべて」ままならない人生と向き合う時間

「私たちが光と想うすべて」の一場面(ⓒPETIT CHAOS - CHALK & CHEESE FILMS - BALDR FILM - LES FILMS FAUVES - ARTEFRANCE CINÉMA - 2024)

 インドを舞台に、都市で暮らす女性たちがままならない人生と向き合う姿を描いたドラマ。昨年のカンヌ国際映画祭で、最高賞に次ぐグランプリに選ばれた。
 ムンバイで看護師をしているルームメートのプラバとアヌ。プラバは父が決めた人物と結婚。程なく、夫はドイツに赴任してしまい、音沙汰がない。勤務先の医師のことが気になるものの、真面目な性格ゆえに、ずっと夫の帰りを待ち続けている。一方、イスラム教徒の恋人がいるアヌは、周囲に打ち明けることができずにいた。
 そんな中、病院の食堂に勤めるパルバティが、高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることに。2人はパルバティを村まで送ることになるのだが…。
 同国は近年、急激な成長を遂げており、ムンバイでもビルやマンションが次々と新設されている。社会に目を向けると、国民の大多数が信仰するヒンズー教と、イスラム教の対立は根深い。家族が関与するお見合い結婚も多く残っている。
 作中の登場人物も、そのような社会の流れに巻き込まれた女性たちだ。自由に生きることができず、息苦しさを抱えていた彼女たちが、田舎でのゆったりとした時間を過ごすことで、自分の気持ちと向き合うことになる。穏やかで優しいストーリーは時に幻想的、時に官能的と変化を見せながらも、そっと心に染み入る良作に仕上がっている。

 シネマ5で16日(土)~22日(金)の午後0時半、同5時半。(この日程以外も上映あり)。

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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