【空襲の記憶】8月7日 竹田に疎開の工場、爆撃受け1人死亡

爆撃で亡くなった中嶋フジトさん=家族提供

 玉来町(現竹田市)拝田原の山下公園に疎開していた工場が米軍機に襲われ、爆撃で1人が死亡した。「大分県警察史」は8月5日と記すが、家族の話や戸籍の記載で空襲は7日と確認された。
 亡くなったのは、工場を経営していた中嶋遠馬(とおま)さんの妻フジトさん(享年40)。次女・中嶋英子さん(93)と三女・三浦信子さん(90)の証言によると、爆撃で飛び散った破片の一つがフジトさんの心臓に刺さった。遺体を乗せた布団が赤く染まっていたという。
 信子さんはその日の朝、登校する際に母と「行ってきます」「行ってらっしゃい」と言葉を交わしたのが最後だった。
 「いつまでも苦しくて、友達にも話せなかった。私たちが悲しむのを見て父も苦しかっただろうなと思う。80年の年月はあってないようなもの。子どもの頃の『お母さん』への思いでずっと来ている」と目を潤ませた。
 (各種資料を基に、1945年の県内の空襲被害を掲載します)

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