杵築市の漁業関係者「守江湾のアサリ復活を」 活動資金募り養殖事業の確立目指す

干潟に設置した母貝団地のアサリの成育状態を調べる関係者ら=杵築市片野の納屋漁港付近

 【杵築】杵築市の守江湾で激減したアサリの資源回復を図ろうと、市内の漁業関係者が復活プロジェクトと銘打ち、本年度から養殖事業の確立に向けた取り組みを始めた。持続可能な水産業を目指し、地域の雇用創出や地元経済の活性化にもつなげる。活動資金を得るため、7月3日までクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で協力(目標額300万円)を呼びかけている。
 干潟が広がる守江湾は県内有数の潮干狩りスポットとして親しまれてきた。2004年のアサリ水揚げ量は約70トンに上った。転機は12年。県豪雨で土砂が流れ込み、成育環境が悪化して1トン以下に激減した。15年から潮干狩りが禁止されている。
 市や漁業関係者は資源再生に向け、8年前から湾内の2カ所に親となるアサリを集めた「母貝団地」を設置。エイなどの食害から守るため約90面の網(1面当たり縦約2メートル、横約25メートル)で覆っている。
 網の下では年間約20トンのアサリが成育する一方で団地外の生息密度はいまだ低く、市農林水産課の八田修さん(32)は「幼生は潮の満ち引きで多くが湾外に散逸しているとみられる。母貝団地を増やす必要がある」と指摘する。
 復活プロジェクトは、これまでの取り組みを強化。県漁協杵築支店アサリ部会が中心となって母貝団地の造成を継続しつつ、培ったノウハウを養殖事業に応用する。5年後の生産目標は年間37トン。潮干狩り体験ができる場の整備や市の新たな特産品「城下アサリ」のブランド化なども進める。
 農山漁村支援の会社を起業し、プロジェクトに参画している橋本康治さん(59)=市内本庄=は「市民も再びアサリが採れるようになるのを願っている。ビジネスモデルとして持続可能な仕組みを構築したい」と話している。

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