県内は10日、梅雨前線や南西からの暖かく湿った空気により全域で雨が降った。気象庁は県内で今季初となる線状降水帯の「半日前予測」を発表。中津など3市町が避難指示を出した。これまでの雨で地盤が緩みやすい状態になっており、大分地方気象台は「少しの雨でも警報の可能性がある。今後の情報に留意してほしい」と話している。
 気象台によると、降り始めの8日午後1時から10日午後7時までの雨量は▽日田市椿ケ鼻 225ミリ▽中津市耶馬渓 177・5ミリ▽日田市三本松 152ミリ―など。
 県によると10日午前、災害の危険性が高まったとして、中津、日田両市が一部地域、玖珠町が全域に避難指示を出した。対象は計約1万9500世帯・約4万500人。午後3時までに3市町で計54人が避難した。国東市は同日午後、「高齢者等避難」を出した。
 玖珠町は同日夜に避難指示を解除。午後7時半現在、中津、日田、国東、杵築4市で計48人が避難している。
 宇佐市下矢部では市道の路肩が崩壊し、午後6時40分から全面通行止めとなった。
 線状降水帯の発生予測は9日深夜、大分を含む九州北部5県に出された。10日明け方から夕方にかけて発生の恐れがあるとされたが、10日午後7時までに発生はしていない。
 梅雨前線は11日にかけて九州南部まで南下する見込み。明け方から朝にかけて局地的に雷を伴った激しい雨が降る恐れがある。11日午後6時までに予想される24時間降水量は多い所で▽西部 100ミリ▽中部、北部、南部 80ミリ。
 13日には前線が再び九州北部付近にまで北上し、雨をもたらしそう。
■三隈川の水位上昇、国交省が警戒
 日田市庄手の三隈川は大雨により水位が上昇し、国土交通省筑後川河川事務所日田出張所の車両がパトロールに当たった。
 市内隈の温泉旅館街沿いでは増水に備え、水郷日田の名物「屋形船」がロープや木の棒で川岸に固定されていた。
■中津市が避難所20カ所開設
 中津市は避難指示を出した三光、本耶馬渓、耶馬渓、山国の各地域に避難所を計20カ所開設。本耶馬渓公民館には午後3時時点で12世帯16人が集まった。
 山国川沿いに住む同市本耶馬渓町多志田の野口あい子さん(78)は、夫や近所の人と一緒に身を寄せた。「近くに冠水する道もあり、通れなくなる前にといつも早めに避難している。今回も地域の人と声をかけ合って来た。川の水かさが減るまで過ごさせてもらう」と話した。
■県内21校が休校などで対応
 県教委によると10日、県内の小中高など21校が休校や始業・終業時間をずらす対応を取った。
 午後3時時点のまとめで、休校は中津、日田、宇佐3市の小中高と特別支援学校の計13校。大分市の小学校1校は登校時間を遅らせ、中津、玖珠、九重、由布、日田5市町の小中高計7校は帰る時間を早めた。
 11日は日出町と中津市の支援学校計2校が休校を決めている。