熱中症対策として、学校現場でのエアコン活用が進んでいる。文部科学省の調査や各市町村教委によると、県内は全ての普通教室にエアコンが付いた一方、体育館への導入は別府、大分両市の小中学校など一部にとどまっている。災害時の避難所に指定されているケースも多く、国は整備を推奨しているものの、資金面でほとんどの自治体が設置できていないのが現状だ。
別府市は昨年5月までに全ての小中学校の体育館で設置を終えた。体育の授業や集会、部活動などさまざまなシーンで使っている。市教育政策課は「教育環境が改善され、住民の安心安全を確保する避難所の環境としても良くなった」と話す。
大分市は、2022年に体育館を含む新校舎が完成した金池小と、昨年4月に開校した大在東小の2校が備えている。その他の小中学校も本年度中の完了を目指す。維持管理を含めて31年度までに計約35億円の事業費を見込む。
このほか、由布市は来年2月に大規模改修をする挾間中に設置予定。姫島村は27年度までに小、中両校に付ける。
設置していない市町村も必要性は感じているが、施工費だけでなく維持管理、ランニングコストなど継続的に費用の捻出が必要なことから導入に至っていないという。気化式冷風機や送風機を利用するところもある。
各担当者は「理科室、家庭科室などの特別教室にエアコンがない学校があり、そこを優先させたい」「水銀灯の生産中止が決まっているので、まず照明のLED(発光ダイオード)化を進めなければ」などと説明。「エアコンを付けるなら体育館の断熱性を高める工事も同時にする必要がある」との声もあった。
県立は特別支援学校と、避難所に指定されている高校(体育館が複数ある場合は1カ所)を対象に昨年度から工事に着手。本年度と合わせて47校に設置する予定だ。
文科省は昨年度、体育館の避難所機能を強化する目的で、臨時の特例交付金を創設。対象になる学校はエアコン整備費の半額補助を受けられる。
県教委教育財務課は「冷暖房は夏場の熱中症対策や、避難所の環境改善のため必要性が高い。文科省の補助金の条件が良いので、市町村への情報提供と呼びかけをしていく」と話した。