「秋が来るとき」秘密を抱えた人々が織りなす物語

「秋が来るとき」の一場面(ⓒ 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME)

 フランス・ブルゴーニュ地方を舞台に、秘密を胸に抱えた人々が織りなす物語。巨匠フランソワ・オゾン監督が、幼少期の思い出を基に、サスペンス要素のあるヒューマンドラマを生み出した。
 田舎町で一人暮らしをしている80歳のミシェルは、古くからの親友マリークロードとキノコ狩りを楽しむなどして、穏やかな日々を過ごしていた。
 ある日、娘のバレリーと、その息子ルカがパリからやってくる。孫の姿を心待ちにしていたミシェルは、料理などを振る舞う。だが、口にしたバレリーは体調に異変を来し、「母は私を毒殺しようとした」と憤慨。ルカを連れて帰ってしまう。考えを翻すよう求めても聞く耳を持たない。
 バレリーは、以前から母親を拒絶し、財産を渡すように要求していた。ミシェルはマリークロードを相手に「娘にとって私は金づるなのか」とぼやく。その姿を、ミシェルを慕うマリークロードの息子、バンサンが目にしていた。
 冒頭で、「愛する術を知っているものは、罪を許される」という新約聖書の一節が語られる。物語はミシェルが抱える秘密に触れながら、娘に対して罪悪感を持ち、許しを得るまでが描かれる。明暗のコントラストが効いた照明効果は登場人物の心情を雄弁に表現しているようで味わい深い。

 シネマ5で14日(土)~20日(金)の午前10時。14、16、18日は午後5時55分からも上映する。(この日程以外も上映あり)

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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