日田市「小鹿田焼の里」で景観規制緩和の動き 市が保存計画変更、条例も見直す方針

日田市が文化的景観保存計画を変更し、改良復旧ができるようになった池ノ鶴地区の棚田=日田市源栄町

 【日田】国の重要文化的景観に選定されている「小鹿田焼の里」(日田市)で、景観保存の規制を緩和する動きが進んでいる。「過度な規制で生活に支障がある」という地元の声を受け、市は4月、同里の文化的景観保存計画を変更。景観保護の観点から原状回復が原則だった災害復旧でも柔軟な対応ができるようにした。今後、市景観条例も見直す方針で、地元と協議を続けている。
 市文化財課によると、国の重要文化的景観には2008年、▽棚田のある池ノ鶴▽小鹿田焼の窯元らが暮らす皿山―の両地区が選ばれた。
 池ノ鶴地区(3世帯)は水害のたびに小川が氾濫したが、景観規制により原形復旧を繰り返した。23年7月の大雨では棚田や石積み計約160カ所が被災。棚田の所有者らは治水能力の高い改良復旧を行政に求めてきた。
 市は文化庁との協議を経て今年4月、同地区を中心に農地やあぜ道、棚田の石積みなど178件を同計画にある「重要な構成要素」から解除。復旧に規制がかからないようにした。
 一方、両地区にある自宅の階数や広さ、外壁工法などへの基準は設けられたままで、住民からは不自由な生活に不満の声が出ている。市は「人々の暮らしとなりわいを過剰に規制しないことが景観保存につながる」として、市条例の景観形成基準を緩和する方針で住民と話し合いを続けている。
 池ノ鶴地区で棚田25カ所を所有する木下孝則さん(62)=団体職員=は「原形復旧にこだわりすぎると耕作意欲がそがれる。先祖代々、守ってきた棚田を継承するためにも改良復旧し、治水力のある棚田にしたい」と話した。

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