異色の報道写真家リー・ミラー(1907~77年)が最前線で目撃した第2次世界大戦の姿を描く。
米国出身。ヴォーグ誌などでファッションモデルとして活躍した後、芸術家マン・レイのアシスタントになり、写真の撮影手法を共に考案した。この時期にパブロ・ピカソやサルバドール・ダリなどと交流があったという。
物語は、70歳になった彼女が若きジャーナリストに思い出を語る形で進んでいく。
戦前は華やかで刺激的な日々を過ごしていた。だが、ドイツでナチスが権力を握り、欧州が戦火に包まれてしまう。同誌のカメラマンとして活動していた彼女は、米ライフ誌のフォトジャーナリストであるシャーマンとチームを組み、米軍に従軍し、最前線へと向かう…。
収容所にうち捨てられたホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の犠牲者。集団自殺を強要されたナチス関係者の家族。そしてヒトラー亡き後の彼の浴室。彼女のカメラは戦争そのものを写していく。
明るい時代から、あれよあれよという間に戦争に突入していった欧州。プロデューサーでもある主演のケイト・ウィンスレットは、緊張感のある演技で戸惑いや焦り、悲しみ、怒りを表現。なぜミラーは戦場へ向かったのか。観客一人一人に問いかけてくる一本になっている。
シネマ5で24日(土)~30日(金)の午後0時35分、同5時半。(この日程以外も上映あり)
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「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。