結納品を半世紀以上扱う大分市の専門店「はまなが」 数万組の縁結びに寄り添い「喜び」

「結納の店はまなが」を営む浜永孝治さんと洋子さん夫婦。創業した孝治さんの母から受け継いだ親切で丁寧な接客と礼法指導が評判=大分市中央町

 【大分】大分市中央町の「結納の店はまなが」は、婚約の際に取り交わす結納品一式を扱う全国でも数少ない専門店。半世紀以上にわたり、数万組の縁結びに関わってきた。店主の浜永孝治(たかはる)さん(76)、洋子さん(71)夫婦は「結婚という人生の大きな節目に寄り添えることが喜び」と話している。
 結納は婚約の証しとして「長熨斗(のし)」「末広(扇)」「寿留女(スルメ)」など夫婦円満や長寿を願う品を贈る日本の伝統的な儀式。孝治さんによると約1600年前、仁徳天皇の時代に始まった。室町時代に武家や公家の間で広まり、江戸末期から明治初期にかけ庶民に普及したという。
 店は1972年、大分編み物学院を営み、茶道や華道の師範でもあった孝治さんの母、登志さん(故人)が創業した。長男(孝治さんの兄)の結納の際に好みの品がなく残念に思っていた登志さんは、テレビで水引細工の特集を見たのをきっかけに、すぐに産地の長野県飯田市を訪ね、材料を仕入れて店を開いたという。
 孝治さんは大手通信会社のシステムエンジニアとして東京や長野で働き、2002年に早期退職し帰郷。夫婦で店を手伝い始めた。孝治さんが水引飾りの仕上げや製作、洋子さんが書道8段の腕前を生かして目録書きを担当する。
 結納品は地域や形式によって品目や内容が異なる。客の希望に沿った品を提案し、作法も指導するなど細やかな心配りを忘れない。「相手の家族が喜んでくれた、いい結納ができたと言ってもらえるのが一番のやりがい」と洋子さん。
 最盛期は年間600組の結納に携わった。近年は結納の簡略化などで実施率は2~3割程度。浜永さん夫婦は「文化や風習は時代と共に変化するもの。それでも皆さんが求めてくださる間は心を込めて全力でお支えしたい」と笑顔を見せた。

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