大手非鉄金属メーカー「古河電気工業」(東京)は、道路標識や街路樹などの老朽化に関する地域住民の意識調査を実施した。大分県は、標識などのメンテナンスに積極的に取り組むよう求める割合が、全国の都道府県で8番目に高かった。昨年5月に日田市内の路上で標識が倒れ、下校中の女児が負傷する事故があったことから、同社は「関心が高まっているのではないか」とみている。
調査は昨年12月上旬、インターネットによるアンケートで実施した。全国の7050人が回答。県内は150人が答えた。
標識や街路樹といった道路付属物の維持や修繕、更新に「積極的に取り組むべきだと思うか」との問いに、県内の回答者の82・0%が「積極的」または「やや積極的」な対応を求めた。
最高は沖縄県の87・3%で、熊本県の85・3%、徳島県の84・7%、宮崎、和歌山両県の84・0%が続いた。同社は「台風などで標識や街路樹に被害を受けやすい地域が上位となっている。メンテナンスの重要性を認識しているためだろう」と分析した。
共同で調査した東北大の久田真教授(インフラ材料工学)は「ひとたび道路付属物の事故が起これば住民がけがをするリスクは高い。トンネルや橋などの重要構造物は法定点検が定められているが、道路付属物の点検は法律で制定されておらず、自治体など管理者に一任されている」と課題を指摘した。
大分県警は日田市内で起きた道路標識の事故を受け、昨年度、県内の通学路にある標識約1万6千本を点検した。倒壊の危険があると判断した4本を建て替え、本年度は通学路以外でチェック作業を進めている。