【中津】中津市はごみ処理施設の老朽化を受け、隣接する福岡県上毛町との広域ごみ処理施設整備を検討している。県境を越えた広域処理が実現すれば、県内では初めて。今年2月に両市町による検討委員会を設置して本年度中に候補地を選ぶ予定で、2034年度の稼働を目指している。
市内蛎瀬のごみ処理施設「市クリーンプラザ」は1999年度から稼働を開始し、処理能力は最大150トン。2020~22年度には約20億円かけて改良工事を行い、地元との覚書で使用期限を33年度までとしている。
市は国の指針に基づき、コストや環境負荷の低減が期待できる広域処理を検討。23、24年度に隣接する福岡県豊前市と上毛、吉富、築上の3町に打診したところ上毛町から前向きな返答があり、24年12月に協議を進める基本合意を結んだ。検討委は有識者と副市長、副町長ら6人で立ち上げ、現在、用地の選定方針や評価基準を議論している。
検討委事務局の市清掃施設建設準備室によると、用地は▽1区画2万平方メートル以上のまとまった土地▽土砂災害の特別警戒区域(レッドゾーン)を避ける▽住宅地以外で交通利便性が良い―が選定基準になるという。
次回の検討委は5月21日に開き、同22日以降、市民向け説明会を開く予定。
川野貴弘室長は「人口減少の中で、広域化はメリットが大きい。ごみ処理は市民生活に欠かせないもの。必要性や整備方針を丁寧に伝えていきたい」と話している。
<メモ>
中津市との広域ごみ処理の枠組みに参加しない方針だった福岡県豊前市は、3月の市長選で初当選した西元健市長が「中津市と協議することを検討している。その上でメリットとデメリットを判断したい」と表明。奥塚正典中津市長は21日の定例会見で、「変化があるならば話を聞きたい」と述べた。