「レイブンズ」写真家・深瀬昌久の源たどる

「レイブンズ」の一場面(ⓒVestapol, Ark Entertainment, Minded Factory, The Y House Films)

 世界的な評価を受けている写真家深瀬昌久(1934~2012)の人生をモチーフに、彼が抱える苦悩と、支えたパートナーの姿を描いたドラマ。
 深瀬は北海道出身。1968年に写真家として独立すると、「洋子」や「烏(鴉)」などの作品を発表。米ニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめ、各国の展覧会に出展されている。
 51年、主人公の昌久は写真館を継ぐよう迫る父親を振り切るように上京し、大学の写真学科へと進学する。その後、カメラマンとなり、「娘」の死産に直面。その姿を撮影し、目の前で起こっていることから目をそらさないでいようと誓う。それから3年後、魅力的な女性、洋子と出会い、引かれ、結婚する。
 そんな昌久には、以前から他人には見ることのできない不思議な存在が寄り添っていた。それは、人の形をしたカラス。「片手間にできる芸術はない。平凡な幸せは捨てろ」と哲学的な言葉を投げかけ、昌久をアートの道へといざなっていくのだが…。
 天才、狂人と評された写真家が残した作品の源をたどるような一本だ。芸術家であろうとするほど、父との確執は解消できず、被写体でもあった妻に対しては傷つける言葉を投げかけてしまう。主人公が平凡な人生を捨ててまで撮ろうとしたものは何なのか。彼をそそのかすカラスの幻は一体、何を意味しているのか。注意しながら鑑賞すると、味わい深い。見終えた後で、深瀬の作品を鑑賞してみたくなる。

 シネマ5bisで19日(土)~25日(金)の午後1時、同5時10分。

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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