中津市歴史博物館で特別展「羅漢の棲む処」開催 石仏群の国重文指定10周年を記念

五百羅漢寺(東京都)の木像。羅漢寺石仏を見て制作されたという=9日、中津市三ノ丁の市歴史博物館

 【中津】中津市三ノ丁の市歴史博物館で、特別展「羅漢の棲(す)む処(ところ)」が開催されている。五百羅漢の石仏群「羅漢寺石仏」(同市本耶馬渓町)の国重要文化財指定10周年を記念した企画展。五百羅漢の代表的な図像や史料を通じて造られた背景、羅漢信仰の歴史や広がりなどを伝えている。5月6日まで。
 同石仏は五百羅漢像としては日本最古。1338年に中興開山した円龕昭覚(えんがん・しょうがく)と59年に訪れた禅僧・逆流建順が、たった1年で完成したとされる。中国文化の影響が見られるのが特徴で、耶馬渓特有の岩壁や岩窟を利用。羅漢の聖地、中国・天台山に見立てて羅漢たちが修行生活をしているように配置されている。
 同展は▽羅漢とはなにか▽聖地を写す~羅漢寺の創建▽近世近代の羅漢寺▽羅漢信仰の広がり▽五百羅漢図の世界―の5章で、五百羅漢を掘り下げている。
 同寺の秘仏とされる銅造観音菩薩立像(奈良時代)と舎利塔(南北朝時代)、末寺の智剛(ちこう)寺や宝蔵寺、薦(こも)神社(いずれも同市)の仏像、羅漢寺の石仏群を見て作られたという五百羅漢寺(東京都)の木像、五百羅漢図など計35点を展示。
 五百羅漢図は石仏群と同じ羅漢信仰の下に中国宋、元の時代などに描かれ、大徳寺や東福寺(ともに京都市)、円覚寺(神奈川県鎌倉市)、増上寺(東京都)などに伝わる有名な文化財が一堂に集結した。
 同館学芸員の三谷紘平さん(42)は「羅漢寺石仏に関しては国指定以降も新たな史料が出ており、文化財的価値はさらに高まっている。多くの人に見て、知ってほしい」と話している。
 月曜休館。19日にギャラリートークがあるほか、関連イベントとして新中津市学校で12日にトークセッション、26日に記念講演会が開かれる。問い合わせは同館(0979-23-8615)。

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