ゼロ戦との空中戦や特攻機撃墜の映像公開 豊の国宇佐市塾が米軍撮影12本を新たに

回転しながら墜落する特攻機(右下)と、落下傘で降下する園部勇・上等飛行兵曹(左上)=豊の国宇佐市塾が公開した映像から

 宇佐市の地域おこし団体「豊の国宇佐市塾」(平田崇英塾頭)は22日、太平洋戦争中に米軍が撮影した映像12本(計3分56秒)を報道機関に公開した。大分県関係は2本で、日田市の山中に墜落したゼロ戦との空中戦を撮ったものと、宇佐市の宇佐海軍航空隊で飛行訓練を受けたパイロットの特攻機を撃墜した映像があった。
 ゼロ戦の映像(39秒)は米軍が戦闘機に搭載したガンカメラで撮影された。1945年8月8日、築城飛行場(福岡県)を発進したゼロ戦が福岡県上空で米軍機と交戦。銃弾を浴び、操縦席付近から発火している様子が分かる。その後、日田市に落ちた。
 同年4月17日の映像(48秒)は、沖縄本島東方の海域を航行する米空母から撮影。特攻に向かう艦上爆撃機「彗星」が対空砲火を受けて爆発し、投げ出された搭乗員が落下傘で降下して着水するまでが映っていた。
 同塾による解析で、搭乗していたのは園部勇・上等飛行兵曹(京都府出身)だと新たに判明した。43年3月から約4カ月間、宇佐海軍航空隊で訓練を受けていた。米艦艇に救助されて捕虜となり、戦後に帰国した。
 このほか、45年8月6日午後1時ごろの映像(9秒)は、鹿児島県曽於市で駅や周辺の住宅地を米軍機が機銃掃射する瞬間が捉えられていた。同日は広島市に原爆が投下され、南九州各地でも大規模な空襲があった。この日の鹿児島県内の空襲の映像が見つかったの初めてという。
 映像は同塾が2013~23年に米国立公文書館から購入したもののうち、新たに解析が済んだものを公開した。日米両軍の戦闘報告書や地形などから日時、場所を特定した。
 同塾は毎年、映像を解析して公開。今年5月にも予定している。解析を担当した塾生の織田祐輔さん(38)は「世界では今も戦争が起こっている。映像を見て戦争に関心を持ち、平和を考えるきっかけにしてほしい」と話した。

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