「ブルータリスト」自由の国?胸に迫る建築士の苦悩

「ブルータリスト」の一場面(ⓒDOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES ⓒUniversal Pictures)

 ナチスドイツのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を生き残り、家族と離れ離れになったまま、米国へと渡った建築士の半生を壮大なスケールで描いたドラマ。第97回アカデミー賞では、主演男優賞をはじめ、撮影や作曲の部門でもオスカー像を手にした。
 ハンガリー系ユダヤ人の建築士ラースローは、移民として渡米し、ペンシルベニア州に住む家具屋のいとこを頼る。実業家ハリソンの息子から、サプライズで書斎を改装するよう依頼が舞い込む。しかし、ハリソンは無断で部屋を作り替えられたことに激怒。ラースローは報酬を受け取れず、いとこの家からも追い出されてしまう。
 その後は教会で寝泊まりし、石炭を運ぶ仕事などでほそぼそと暮らすように。そんな彼の前に、ハリソンが現れる。ラースローの建築家としての輝かしい経歴を知り、公会堂の建設を依頼するのだが…。
 オープニングで逆さに映し出される自由の女神が特徴的。作中、描かれるのは全ての人に自由が約束されている「自由の国」を掲げながらも、他の民族や宗教への偏見が残る米国の姿。価値観をアメリカナイズさせることができず、追い詰められていく主人公の苦悩が胸に迫ってくる。
 タイトルの基になっているのは「ブルータリズム」。装飾を排し、コンクリートが多用された即物的な建築様式で、劇中、主人公が手がける公会堂もこれに類する。彼が建物に込めた思いが明かされたとき、「自由の国」への強烈な皮肉が感じ取れる。

 22日(土)~28日(金)。シネマ5では午後6時。シネマ5bisでは正午と午後4時の上映。(この日程以外も上映あり)

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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