18世紀のデンマークを舞台に、荒れ地の開拓に携わった人々の絆を描き出したドラマ。
国内に広がる荒野。自然環境は厳しく、作物も育たない。歴代の国王も開墾を果たせなかった場所だ。そんな中、貧窮にあえいでいた退役軍人のルドビ・ケーレンが、貴族の称号を求め、開拓に名乗りを上げる。彼は、領主の元から逃げてきた小作人夫婦や、南方からやって来た他民族グループを雇い、土地の改良に取り組む。
ケーレンによって自らの勢力がそがれるのを恐れた地元有力者、フレデリック・デ・シンケルは「耕しているのは自分の領地」と難癖を付け、次々と妨害。働き手を奪っていく。開拓地に残ったのはデ・シンケルに夫を殺された小作人の妻アン・バーバラと、家族に見捨てられた他民族の娘アンマイ・ムス。彼らは貧しい生活に耐えながらも、開墾を進めていくのだが…。
当初は、事業を成し遂げることだけを考え、周りに対して心を開かなかった主人公。しかし、厳しい日々を肩寄せ合って生きていくうちに、仲間との間に家族のような絆が生まれてくる。大地を耕すように愛を育んでいく物語は、思わず胸が熱くなる。
何といっても見どころは、主演のマッツ・ミケルセンが見せる繊細な演技。寡黙な主人公のまなざし一つ、食べ方一つに、孤独や愛情を感じさせてくれる。「北欧の至宝」と呼ばれる名優の魅力を堪能できる一本。
シネマ5で15日(土)~21日(金)の午後3時15分。(この日程以外も上映あり)
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