竹田市の商家や蔵「江戸期の建物を後世に」 文化財の構造変えず宿泊施設などに活用

国登録有形文化財の建築物を宿泊施設などとして活用する(左から)後藤慶多さん、服部真二さん、服部玲子さん=竹田市竹田町

 【竹田】竹田市の城下町で国登録有形文化財の商家や蔵が宿泊施設などとして活用されている。江戸時代に建てられたもので、所有者が白いしっくいの外壁や構造、間取りは変えず、内部を洗練された空間に改装した。「利活用することで歴史ある建物が町に末永く残ってほしい」と考えている。
 利用されているのは▽塩屋主屋(木造2階)▽塩屋中蔵(土蔵造2階)▽塩屋古蔵(同)―の3棟。物件を所有する服部真二さん(76)、玲子さん(72)夫婦らによると、庄屋の首藤弥八郎が建てた。主屋は塩やみそなどを扱う商店や住居などとして、蔵は米の貯蔵や日用品の保管場所などとして使われてきた。いずれも2003年に登録有形文化財になった。
 蔵2棟は宿泊施設になる。中蔵は2室、古蔵は1室あり、それぞれ1、2階を使うことができる。内側は土壁や梁(はり)がそのまま残っており、日本伝統の建築技法を見ることができる。シャワー室とトイレを新たに整備した。主屋はカフェや貸しギャラリーとして利用する予定。
 服部さん夫婦は、3棟の西側に建つ塩屋旧大蔵(国登録有形文化財)を11年に改装。「アートスペースカフェ大蔵清水湯」を営んでいる。今回の利活用は、文化財を今後も保存していくため、次男の後藤慶多さん(41)の提案を受けて実施。市教委にも相談して工事を進めた。
 真二さんは「文化財は町の宝物。失われるのは損失になる。活用され、永く残ってほしい」。主屋で育った玲子さんは「伝統的な日本の建物のにおい、空気感まで体感できる」と話す。
 3棟は慶多さんにとって、幼い頃から親しみ、思い出が詰まった建物。「海外や市外からこの施設に人が訪れて町が活気づけば」。町中の文化財や空き物件の利活用が進むきっかけになることも期待している。
 問い合わせは「岡の里旅籠(はたご)塩屋」(0974-63-3321)。

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