「満ち足りた家族」サスペンス要素帯びた人間ドラマ

「満ち足りた家族」の一場面(ⓒ2024 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK ALL RIGHTS RESERVED)

 相反する性格の兄弟が、とある事件をきっかけに運命の歯車を狂わせていく姿を描いたドラマ。ホ・ジノ監督がヘルマン・コッホの小説「冷たい晩餐(ばんさん)」を、韓国サスペンスらしい強烈な後味の残る作品へと仕上げた。
 兄のジェワンは真実をゆがめても、依頼者の利益を追求するやり手の弁護士。妻のジスや娘のヘユンらと高級マンションで生活している。一方、医師の弟、ジェギュは道徳的に生きることを重んじる「医は仁術」を体現するような男。認知症気味の母親を引き取り、妻のヨンギョン、息子のシホとつつましやかに暮らしている。
 ある日、ホームレスが10代の少年少女によって暴行されるという事件が発生。ヨンギョンはテレビのニュース番組で、防犯ビデオに映った犯人の服装が、事件当日のシホと同じだったことに気付くのだが…。
 子を持つ親にとっては、胸に迫るところの大きい作品。許されざる行為をしたわが子に、どのように向き合えばよいのか。はた目にはあくどく見えるジェワンと善人に見えるジェギュだが、親としての業や人としての良心を、かき乱されながら苦悩。隠された人間性があらわになっていく。彼らがたどり着くラストシーンから目が離せない。
 ジェワンを演じたのは「茲山魚譜(チャサンオボ)」のソル・ギョング。ジェギュ役のチャン・ドンゴンにとっては、5年ぶりのスクリーン復帰作となった。

 シネマ5bisで2月8日(土)~14日(金)の午後0時半、同5時10分。(この日程以外も上映あり)

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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