「オークション~盗まれたエゴン・シーレ」絵を巡るアート業界の裏側描く

「オークション~盗まれたエゴン・シーレ」の一場面(ⓒ2023-SBS PRODUCTIONS)

 2000年代初めにフランスの工員宅で、19世紀末のオーストリア・ウィーンを代表する画家、エゴン・シーレ(1890~1918年)が描いた絵画が発見された。現実の出来事を基に、一枚の絵を巡って繰り広げられる人間模様やアート業界の裏側を描いたドラマ。
 「絵を売るためなら何でもやる」と豪語するパリの競売人アンドレは、弁護士からシーレのカンバス画を鑑定してほしいという依頼を受ける。フランス東部の工業都市にある化学工場で働く青年、マルタンが母親と暮らす家で見つかったのだという。
 シーレのカンバス画は長い間発見されておらず、アンドレは贋作(がんさく)を疑いながらも、元妻でビジネスパートナーのベルティナと共にマルタンの元へと向かう。彼らを待ち構えていたのは、何と本物。ゴッホの「ひまわり」をシーレなりに解釈して描いた作品で、ドイツによるオーストリア併合の際、ナチスに略奪されたものだったことが分かるのだが…。
 優れたアートというよりは「資産である美術品」の価値を強く描き出す。早世の天才画家が残した一品は高価で取引されるために、いさかいや権謀術数を生み出す原因に。競売人や所有者、買い手らの思惑が交錯する様子はとてもスリリングだ。
 一方で絵画の発見者であるマルタンの存在に注目したい。高額な価格に振り回されることなく、「本来の持ち主に返してほしい」と主張する姿は、作品に爽やかな味わいをもたらしている。

 シネマ5bisで2月1日(土)~7日(金)の午前9時45分、午後6時35分。

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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