九州・四国広域交通ネットワークシンポジウムが15日、大分市内で開かれた。大分、宮崎、愛媛、福岡各県の行政関係者らが参加。大分県が掲げる「豊予海峡ルート構想」、九州各県で取り組む「東九州新幹線計画」を推進する意義などについて意見を交わした。
佐藤樹一郎知事は大分市と愛媛県を橋やトンネルで結ぶ「豊予海峡ルート構想」を打ち出し、関係県との連携を進めている。シンポジウムはその一環で大分県が主催し、約550人が来場した。
宮崎県の田中克尚政策調整監は「つい先日も地震が起き、物資輸送路の重要性が再認識された。九州全体での支援態勢を考えると、災害に強いネットワークづくりが重要だ」との認識を示した。
原発が立地する愛媛県伊方町の高門清彦町長は「細長い佐田岬半島の付け根に原発がある。半島の先から避難するには豊予海峡ルートが非常に重要」と指摘した。同県の山名富士企画振興部長は経済振興の観点から発言。九州南部の貨物がフェリーで四国に入り、大阪に運搬されている現状を紹介し「観光面でも伸びしろがある」と見通した。
この日、宮崎市で開かれた東九州新幹線の整備機運を高めるシンポジウムともオンラインで結んだ。宮崎県の河野俊嗣知事は「大分県は四国と九州を結びつける構想を力強く推進している。しっかり四国との連携や、東九州新幹線の実現に向けて力を尽くしていきたい」と話した。
佐藤知事は災害に強い国土形成や産業の振興のため、広域交通ネットワークの整備は欠かせないと強調した。