死別や病気、虐待、経済的な理由から親と離れ、児童養護施設で生活する子どもたちの日常を追ったドキュメンタリー。企画、プロデュースは斎藤工。「14歳の栞(しおり)」の竹林亮がメガホンを握った。
東京都にある施設に入所する子どもたちに密着。食事や登校準備といった生活風景や、スポーツに打ち込む姿、施設の行事として取り組む登山の様子などを映す。オムニバス仕立てで、さまざまな年齢の子どもたち一人一人に焦点を当てながら、その胸の内を丁寧に聞き出していく。
7歳の女児が「施設は家じゃない。ここは、預かっている場所としか言わない」と語る姿に衝撃を受けた。他の入所者も「施設の仲間は一緒に暮らしている他人」「友達よりは濃い関係」と表現する。共に住むことのできない肉親に複雑な思いを抱える子どもたち。その一方で、料理人や俳優など将来の夢に向かい、前向きに努力を重ねる姿も描かれる。不安な思いに負けず、成長していこうとする姿にエールを送りたくなる。
作中で、彼らを陰ながら支える職員が入所者について語る「変えられない部分を引きずるよりは、変えていける未来に力を使った方がいい」という言葉が深く胸に残る。
出演者への配慮という観点から、配信、ソフト化をしないことを発表している。ぜひ、劇場で体験してほしい一作だ。
シネマ5で21日(土)~27日(金)の午前10時20分。(この日程以外も上映あり)
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「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。