1996年にアイドルグループSMAPを脱退し、オートレーサーに転身した森且行。競技中の事故で大けがを負いながら、強靭(きょうじん)な意志と努力で復帰を果たすまでの日々を追ったドキュメンタリー。
ブレーキもなく、最高時速150キロを出すオートバイを駆って、命懸けの勝負を繰り広げるオートレースの世界。幼少時から憧れを持っていた森は、SMAPのメンバーと「お互いの分野で日本一になろう」という約束を交わし、競技の世界に足を踏み入れる。
「芸能界に戻れ」「歌を歌ってろ」といったヤジに負けず、ストイックにトレーニングを続け、実績を積み重ねて、2020年11月に開催された日本選手権を制覇。日本一の座を手に入れるが、21年1月のレースで落車。骨盤や腰椎を骨折するなど大けがを負ってしまう。
医師から「歩けるようになるかも分からない」と言われ、足はまひの残った状態。しかし、森はカムバックを信じて、休むことなくリハビリを続ける。なぜ、諦めることなくレースを目指すのか。3年にわたり取材を重ね、兄や他の選手、医師らの証言を交えながら、実像に迫る。そこには単なる情熱だけではなく、仲間やファンとの絆も感じられた。
大きな夢や、困難な出来事を抱えている人は必見。恨み言を吐かず、笑顔を見せながら前を向き続ける姿は、大きな勇気を与えてくれる。
シネマ5で14日(土)~20日(金)の午後0時25分、同6時40分。(この日程以外に上映あり)
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「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。