時速194キロ死亡事故、遺族側が大分地検に控訴要請へ 「懲役8年はあまりに軽い」

大分地検が入る大分法務総合庁舎=3日、大分市荷揚町

 大分市内で時速194キロで車を運転して右折車に衝突し死亡事故を起こした男(23)=同市=に危険運転致死罪で懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した大分地裁判決について、遺族側は福岡高裁への控訴を大分地検に求める意見書を近く提出する。遺族の代理人弁護士によると量刑不当などが理由。「前代未聞の常軌を逸した速度。懲役8年はあまりに軽いと受け止めざるを得ない」と訴える。
 地裁は裁判員裁判で審理し、11月28日に判決を出した。量刑理由では、被告が若年で反省しているほか、起訴から初公判まで2年以上がたち「不安定な状態に置かれ続けたことなどを考慮した」と説明した。
 また、検察側が主張した同罪の対象2類型のうち「進行を制御することが困難な高速度」を認定したものの、「妨害目的の運転」は退けた。
 意見書は「公判までの期間が長引いたのは、被告側が危険運転致死罪の成立を争ったためでもある。量刑判断に考慮するべき事情ではない」と指摘。危険性や悪質性に照らすと懲役8年は軽いとして、「この程度の刑罰に過ぎないとの認識を社会に広めることになる」と不当性を強調する。
 妨害目的が否定されたことは、「被告は高速度で直進し、対向右折車の通行を妨げてでも快楽を得る動機があった。判決は明らかに不当」と求める。
 亡くなった男性の姉(58)は取材に対し、「危険運転が認められて良かったが、納得できない点がある。高裁に判断を仰いでほしい」と話した。
 控訴の期限は12日。検察側と弁護側は3日午後4時時点で、いずれも方針を明らかにしていない。
 遺族が共同代表を務める「高速暴走・危険運転被害者の会」も控訴を求める文書を提出する予定。

<メモ>
 事故は2021年2月9日午後11時過ぎ、大分市大在の県道(法定速度60キロ)で発生した。当時19歳だった被告の男は、乗用車を時速194キロで走らせ、交差点を右折してきた乗用車に激突。運転していた同市の男性会社員=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた。今年11月の大分地裁判決は、過失運転致死罪に当たると訴えた被告側の主張を退け、「わずかな操作ミスで事故を起こす危険性があった」として危険運転致死罪の成立を認めた。

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