別府市のひょうたん温泉、乳がん啓発に力 17日から1週間、入浴着を周知

手作りポスターなどを掲示し、入浴着への理解を求める村上加菜子さん=別府市鉄輪のひょうたん温泉

 【別府】10月の乳がん啓発月間に合わせ、別府市鉄輪のひょうたん温泉は17日から1週間を「サポート週間」と銘打ち、手術痕などを覆う入浴着の周知に力を入れる。使い捨ての入浴着を販売するほか、敷地内ののれんをシンボルカラーのピンクにする。乳がん経験者に気兼ねすることなく温泉を満喫してもらおうと、初めての試み。
 同施設は2021年から入浴着を浴槽で使用できるようにしている。県によると、厚生労働省は利用を推進しているものの、多くの温泉施設や一般利用客に理解が広まっていないという。
 「入浴着を知らない人もおり、人の目が気になる。大好きな温泉に入れず悲しい」―。2年前、同施設に女性客から切実な声が寄せられた。総務部の村上加菜子さん(49)は、母が乳がんを患ったことがあり「人ごととは思えなかった」と振り返る。
 施設内で販売する入浴着は畿央大(奈良県広陵町)と東京の繊維商社が共同開発し、特殊な不織布を使用。湯切れがよく皮膚に貼り付きにくいという。左右の胸のバランスを保つため、胸の上部にギャザー加工を施している。フリーサイズで、税込み880円。
 期間中、女性用の脱衣所には入浴着を着たマネキンを置く。英語と韓国語訳付きの啓発ポスターを手作りし、館内各所に掲示する。
 村上さんは「多くの人に入浴着のことを知ってもらいたい。誰もがゆっくりと思いっきり手足を伸ばして温泉を楽しんでくれるとうれしい」と話した。
 問い合わせはひょうたん温泉(0977-66-0527)。

<メモ>
 入浴着は乳がんや皮膚移植に伴う手術の傷痕をカバーするために開発・製造された専用の肌着。浴槽に入る前に付着したせっけんをよく洗い流すなど、清潔な状態で使用すれば衛生管理上の問題はない。県によると2021年の調査で、県内の温泉や公衆浴場など586施設のうち、入浴着を利用可と公表しているのは41施設。別府市元町の竹瓦温泉は貸し出しにも応じている。利用を認めているが、非公表にしている施設もある。

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