「本日公休」郷愁を誘う昔ながらの理容店

「本日公休」の一場面(ⓒ2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved)

 昔ながらの理容店を営む女性を主人公にしたドラマ。
 台湾第2の都市、台中の町外れに理容店を構えているアールイ。なじみの客たちと「亡くなった妻が夢に現れた」「最近、恋人ができた」といった話に花を咲かせている。散髪の時期を迎えた常連客には「そろそろいかが」と電話をかけるなど、忙しい日々を送っている。
 長男のナン、長女のシン、次女リンは成人し実家を離れており、あまり顔を見せることはない。親しい“子ども”は次女の元夫、チュアンだけだ。
 そんな時、最近店に顔を見せていなかった歯科医、コの娘から「体調が思わしくない父のため、出張散髪をしてほしい」と電話を受ける。アールイは、店の入り口に「本日公休」の札をかけ、遠方に住むコの元まで車を走らせるのだが…。
 常連客の雑談でにぎわう理容店や、のどかな景色―。台湾の映画ではあるが、どこか懐かしくて郷愁を誘う。他人のためにコストを考えずに行動するアールイの生き方は、現代社会の中では「時代遅れ」なのかもしれない。それでも、誰に対しても「お客」としてではなく「人間」として丁寧に向き合おうとする姿は、とても魅力的。
 岩井俊二らが監修したオムニバス映画「恋する都市 5つの物語」でメガホンを取ったフー・ティエンユーが監督。自身の母親をモデルに物語を生み出し、実家の理容店で撮影した。

 シネマ5で12日(土)~19日(金)の午前10時、午後3時45分。

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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