【佐伯】佐伯市西浜の番匠川河口付近の堤防で巨大壁画「佐伯洲浜竜宮図」制作に取り組む画家の谷川広人さん(70)=市内東町=が完成に向けて活動を再開した。9月からクラウドファンディングサービス「sandwich(サンドイッチ)」で支援金の募集も始めた。谷川さんは「気持ちを込めて仕上げていきたい」と張り切っている。
2018年から「佐伯の観光名所になれば」と私財を投じて絵巻物風の巨大壁画を描いている。凹凸のあるコンクリート製ブロックに絵を描く難しさ、晴れた日にしかできない作業、気温との戦い―。厳しい条件の中、熱い情熱と思いを持って活動を続ける。
壁画に描かれる物語は、一人の青年が佐伯湾から番匠川を巡り、さまざまな生き物と対話する中で乙姫と出会い、玉手箱の中身を見つける―というもの。コツコツと描き続けて現在、長さ約200メートル(高さ5メートル弱)に。未完ながら巨大な芸術作品を楽しもうとする市民、観光客も増えている。
猛暑で中断していた活動を9月下旬に再開した。「完成まであと40メートルほどと考えている。これまでも有志が支えてくれた。今後も資金が必要でクラウドファンディングを始めた。『壁画はいつか消える』と言われたこともあるが、私は描き続ける」ときっぱり。
今後は色落ちした部分への加筆やコーティングなどを繰り返し、2年後の完成を目指す。「美しい自然とアートの融合、また絆、命の大切さ、愛といった人として大切なものを少しでも感じてもらえるようにしたい。協力してくれた方の後押しを糧に、確実に仕上げて披露したい」と話した。
<メモ>
クラウドファンディングは11月20日まで実施している。目標額は150万円。支援者にはオリジナルグッズを提供する。