学習アドバイスのコーナーはQ&A方式でお届けします。大学受験生向けは、英進館天神本館高等部本部(福岡市)の神田岳彦講師が、受験生や保護者の質問に答えます。
■受験生は自分の意思を明確に表示して
Q.出願校はどうやって決めるとよいですか。
A.高校では9月に、大学入学共通テストの願書配布と、出願に当たっての説明があったと思います。多くの3年生が初めての出願を経験したことでしょう。願書は試験を受けるための申込書類。いよいよ、どの大学を受験するか決める時期になりました。
出願校を決める際に大事なのは、「私が行きたい大学はここしかない」「この大学を受験したいが、成績が伸びなかった場合はこういう選択肢を考えている」など、受験生が自分の意思を明確に表示することです。高校や塾の三者面談で、急に発言を変えて保護者を驚かせる人も少なくありません。必ず家族に気持ちを伝える場を持ちましょう。
忙しいでしょうが、保護者もそろって子どもの話を聞いてください。その際、経済的な事情など、伝えるべきことはしっかり伝えましょう。大切なのは子どもと保護者が本心をぶつけ合うことです。県外の大学を受験していいか、私大に進学できるか、浪人できるかなど、具体的に確認してください。
保護者の希望を学校や塾に伝えるのも大事です。「志望校を変えずに頑張らせたいが、実は浪人させられない」など、場合によっては子どもに内緒で伝えておきたいこともあるでしょう。そうした事情を知っていれば、高校や塾側もいろいろな提案ができます。
■学力、性格、家庭の事情に合わせて慎重に
願書は一般入試の前期日程と後期日程、総合型選抜など、複数の大学、学科に出すことができます。各大学の入試要項をしっかり確認してください。書類を高校に準備してもらったり、願書に貼る写真を撮影したり、出願には細かい作業がいろいろと発生します。余裕を持って準備できるよう、10月中にはどこの大学を受けるか、何校受けるか決めましょう。
国立大が本命で私大を受ける場合、進学可能で、合格の可能性が5割以上ある大学を4、5校受験することを勧めます。
合格が難しい大学をいくつ受けても試験に緊張感がないので力になりません。逆に「ここなら大丈夫だろう」という大学を受験すると、一定の緊張感が持てます。「緊張すると自分はこんなふうになるのか」「周りにこんな受験生がいて気が散った」などと感じることで、入試会場での経験値も上がります。
「国立大の入試前に私大の不合格が分かったら自信をなくすかもしれない」と、私大を受験しないケースもあります。出願は一人一人の学力、性格、家庭の事情に合わせて慎重に決めてください。
複数の大学を受験する場合は体力のことも考えて予定を組みましょう。当日の試験で神経をすり減らした上に、翌日の試験に備えるのは大変です。5日連続で受験するといったスケジュールは、あまりお勧めできません。
県外の大学を受ける場合は宿泊や交通の手配が必要です。受験生向けのホテルなどはすぐに予約が埋まるので、出願校が決まったら早めに情報を集めましょう。地方に試験会場を設けている大学もあるので、有効に活用してください。