「掟」市議会と対立した石丸氏がモデル

「掟」の一場面(ⓒ2024 チームオクヤマ)

 7月の東京都知事選に出馬し、既存政党が主導する従来型の政治に一石を投じた広島県安芸高田市前市長の石丸伸二氏。市議会と激しい対立を繰り広げた彼の市長時代をモデルにしたドラマ。
 公選法違反事件を巡って、市長をはじめ数人が辞任した北東雲市が舞台。元銀行員で新しく市長になった高村は、市議会で所信表明演説をするが、さなかに居眠りをしている議員を発見。交流サイト(SNS)で報告する。
 これを知った他議員たちは市長を呼び出して猛抗議。だが高村は「議会を敵に回すなら政策に反対するぞとどう喝を受けた」と再びSNSに書き込む。反市長の議員たちは「清正会」という会派を立ち上げ、真っ向から衝突するようになるのだが…。
 原作は、津久見市出身の中津留章仁が主宰する劇団トラッシュマスターズが2月に上演した同名舞台。映画版でも中津留が脚本、監督を務めた。副市長人事や大型生活雑貨店の誘致を巡る対立など、現実の安芸高田市、石丸市政の中で起こった出来事も盛り込まれているのは興味深い。
 市の財政を立て直すためにアイデアを出す高村と、根回しなど「議員への配慮」をしない市長の政治姿勢を嫌い、感情的になっていく清正会の面々。両者の溝が深まるごとに、市民の生活が置き去りになっていく。
 政治が前に進まないのはなぜなのか。大きな問いを投げかける一作。

 シネマ5で10月5日(土)~11日(金)の午後7時10分。

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 「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。

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