大分市横尾のアパートで1人暮らしをしていた元会社員五條堀美咲さん(32)が行方不明になって25日で8年になる。県警はこれまで延べ約4万7千人の捜査員を投入し捜索を続けているものの、有力な手掛かりはつかめていない。毎年9月にアパート周辺などで実施しているチラシの配布を、今年は26日に予定しており改めて情報提供を呼びかける。
五條堀さんの父親(70)=福岡県久留米市=は大分県警に依頼し、チラシに掲載する娘の写真を変更してもらった。昨年までは髪をセットしたフォーマルな姿を使ってきたが、今回は友人と出かけた際に撮った自然体の写真に替える。「当時の美咲に雰囲気が近いものを選んだ。何か心当たりがあれば情報を寄せてほしい」と訴える。
県警によると、五條堀さんの姿が最後に確認されたのは2016年9月25日午後11時半ごろ。自宅アパートで友人と会っていた。翌26日午前1時過ぎまで、友人らとメッセージのやりとりをしていたことも分かっている。
その後、同午前6時前に自宅周辺でスマートフォンの位置情報が途絶えており、何らかの原因で使用不能になったとみられる。大分市内の職場に出勤しなかったことで失踪が判明。県警は10月6日、公開捜査に踏み切った。
部屋に荒らされた形跡はなく、外出時にトラブルに巻き込まれた可能性がある。使用していたスマホや財布は依然として見つかっていない。
父親によると、五條堀さんは家族と仲が良く、毎月のように久留米市の実家に帰省していた。「突然、消息を絶った。その後、銀行口座や保険証が使用された形跡はない。何らかの事件に巻き込まれたとしか思えない」と考えている。
父親は行方が分からなくなって以降、警察からいつ連絡があってもいいよう携帯電話を肌身離さず持ち歩いている。「70歳になり、だんだんと体の衰えを感じるようになった。何とか元気なうちに解決したい。もう一度、娘に会いたい」と切実な思いを語った。
県警は現在も25人態勢で捜査を続けている。今年8月末までに寄せられた情報提供は計321件。ただ、今年に入ってからは4件にとどまり風化も懸念される。県警の萩尾伸司生活安全部長は「必ず見つけ出す。強い気持ちを持って捜索活動を続ける」と話した。
<メモ>
五條堀美咲さんは身長149センチ。所持していたとみられるバッグ(縦17センチ、横20センチ、高さ23センチ)はグレーで、タッセルと呼ばれる飾りとポーチが付いている。スマートフォンはアイフォーン6sのゴールド。情報は大分東署(097-527-2131)。