「筆の一撃目」ダイナミックさに目を奪われる 「大分由源大作書展・鶴崎双雲書展」鑑賞記

個展コーナーで写真に納まる水田雲峰さん

 大分市寿町の県立美術館(OPAM)で開かれた第22回大分由源大作書展・第54回鶴崎双雲書展(13~15日)を訪ね、大分市西鶴崎の書家、水田雲峰・鵬雲親子と門下生の約200作品をじっくりと鑑賞した。大きなインパクトがあったので、素人ながらの表現で、その感想を記したい。

 展示場に入って左手に飾られていた豪快な書がまず目に飛び込んだ。「たき」である。たっぷりと墨を含ませた、とても力強い6歳児の筆使いに驚いた。水が塊となって落ちてくる大きな滝を思わせる。次に足を止めたのは、その横の壁にあった9歳児の「牛乳」。これを飲んだら元気が出そうな気がした。
 序盤で早くも盛り上がった感がある中、場内に水田雲峰さん(78)がいるのを見つけた。筆者(57)はずいぶん昔の教え子のうちの1人であり、かなり久々の再会である。
 会場右手から反時計回りに雲峰さんの個展スペースが設けられていた。じっと見ていると、どの作品にも圧倒され「素晴らしい」としか言いようがない。一文字ごとの美しさもさることながら、「紙」という限られた2次元空間を、上下左右や対角線で区切って眺めると、作品全体が心地よいバランスで構成されていることに気付く。鵬雲さんの書もしかり。
 また、門下生も含めて、「筆の一撃目」のダイナミックさに目を奪われる。ビシュッと墨が飛んだ文字の力強さは、紙に筆を打ち込む際の思い切りの良さが生み出しているのだろう。
 一つずつ、作品ごとに「いやぁ、すごいな」と小声で言いながら会場内を見て回った。

■気分転換に「正座100」
 雲峰さんの書塾は今年で55年目になるという。小学生時代と前後合わせて7~8年通っていたが、当時のどこかの期間で、筆を握る前に正座して100数えるという日課があった。雲峰さんに「今でもやっていますか」と尋ねると、「やっていたかな。覚えていない」と話す。
 しかし、確かにやっていたと記憶している。当時の名残だろう。原稿を書くのに行き詰まったときや、疲れたときは、椅子の上でも正座をして「1、2、3・・・」と数え、背筋を伸ばす習慣がある。心を落ち着かせ、気分転換する際に「正座100」はとても有効だ。
 (下川宏樹)

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