県は12日、「夜間中学」を2026年4月に開校する方針を明らかにした。戦後の混乱期に中学校に通えなかった高齢者の学び直しの場や、不登校の若年層、増え続ける外国人らが社会生活に必要な知識などを身に付ける受け皿になることを想定している。
文部科学省は全ての都道府県に対し、27年度末までに夜間中学を1カ所以上置くよう求めている。
県教委はニーズ調査のため、23年度に県内6市で体験授業を開催し、30代~80代の31人が参加。一定数の需要があることが分かり、今年3月の総合教育会議で「設置が必要」との見解が出た。
7月に設けた「夜間中学設置支援委員会」では交通アクセスの良さや既存施設の活用、ユニバーサルデザインなどを重視する意見が出た。
不登校の若年層らは義務教育を修了していない人だけでなく、形式的に卒業したことになっている人も受け入れる必要性が指摘された。
開校に向けて場所や施設、入学対象者の要件をどうするかなど、具体的な検討を進めていく。
対象者は県内各地にいるため、10月から自宅で受けられるオンライン講座を試験的に実施する。
この日の県議会で、佐藤樹一郎知事は「さまざまな事情で教育を受けられなかった人の気持ちに応える」と述べた。高橋肇氏(県民クラブ)の一般質問に対する答弁。
文科省によると、夜間中学は4月時点で、設置予定を含めて18都道府県に53校ある。うち九州では長崎、鹿児島両県が来年4月の開校を予定している。
<メモ>
2020年の国勢調査で、大分県内で最終学歴が「小学校」なのは8759人、小学校を卒業していない「未就学者」は521人いた。両方を合わせた年代別は60代以上が8964人で96%を占め、16~59歳が316人。