大分県は臼杵港(臼杵市板知屋)に整備中の新しいフェリーターミナルが来年3月20日に完成することを明らかにした。利用開始は4月の予定。東九州自動車道が宮崎など隣県とつながって以降、乗客、貨物ともに海路の需要が伸びており、船が停泊するバースを拡充し、防災面も向上させた。トラック運転手の働き方改革を受けた利用も拡大しており、東九州の玄関口として役割が一段と高まる。
臼杵港は愛媛県八幡浜市と結ぶフェリー航路があり、2社が1日計14往復している。現ターミナルの港内には造船所や漁港もあり混雑しているため、大分県が2003年度から約500メートル東側に新ターミナルを整備してきた。
約6万平方メートルを埋め立て。バースはフェリーの大型化に対応できるよう、現状より25メートル長い140メートルにした。当面は1カ所で運用し、2期計画で将来的に2バース体制にする。
南海トラフ地震などに備え、耐震強化岸壁を採用。背後に整備した緑地は市民が憩える場として使い、災害時は支援物資の置き場所にする。全体の総事業費は200億円程度の見込み。
東九州道が北九州市から宮崎市まで開通した16年以降、臼杵―八幡浜航路の乗客と貨物取扱量は増えてきた。23年の乗客は21万2千人(16年比7万人増)、貨物は979万3千トン(同133万トン増)だった。
トラック運転手の時間外労働の上限規制が今年4月から始まり、休息時間を確保できるフェリー利用は増加が見込まれる。熊本と大分をつなぐ中九州横断道路が全線開通すれば、西九州からの利用も増えそう。
佐藤樹一郎知事は「港は物流・産業・生活を支える重要なインフラ。港の特性を生かし、計画的に整備する」と述べた。県議会で志村学氏(自民党)の代表質問に答えた。