薬物やアルコール、ギャンブルなどに心を奪われ、やめたくてもやめらない状況になってしまう「依存症者(アディクト)」。彼らの回復を題材にした群像劇。
アディクトで結成したゴスペルグループ「リカバリー」がコンサートを開催することに。出演者の中には2年前に薬物所持で逮捕された人気ミュージシャン大和遼の名前があった。カムバックともいえる舞台に多くの人が色めき立つ。
だが、コンサート当日、いつまでたっても開場せず、詰めかけたファンたちはざわつき始める。いったい何が起こっているのか…。
依存症は脳の病気であり、適切な治療によって依存を断つことは可能。しかし、社会の中では「意志が弱いから」「治ることはない」と誤解されることも多い。物語は「リカバリー」のメンバーたちにフォーカスを当てながら、苦悩し、支え合いながら、前を向き続ける姿を映し出す。
実際に回復に向けて奮闘している人々をキャスティングしているのも特徴。中でも、主演の高知(たかち)東生(のぼる)は自身の経歴をほうふつとさせる大和役。終盤、自らの心情を語る場面は、アドリブだったという。フィクションを超えたせりふは心に響く。
高知は「日本では、人生の中でしくじりをした人が、回復に向かうためのプロセスを丁寧に描いている映画は少ないように思います。この作品は、仲間と共に、生き直していく姿を映した物語です」と話している。
シネマ5で14日(土)~20日(金)の午前10時。15、19、20日は午後7時40分も上映。
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