【竹田】竹田市の竹田高(西村和文校長、360人)で21日、「健康・安全の日」の集会があった。15年前に剣道部の工藤剣太さん=当時(17)=が練習中に熱中症で倒れて死亡した事故を受けて毎年開いている。今年は工藤さんの母・奈美さん(55)=市内久住町=が講演。「自分の命、周りの人の命を大切にしてほしい」と訴え、生徒や教職員は再発防止を誓った。
両親が県を相手取って起こした訴訟の確定判決によると、工藤さんは2009年8月22日、熱中症で異常を来した。当時の顧問は「演技」と決め付け、胴を蹴ったり頬を平手打ちするなどした。工藤さんはその日の夕方、病院で死亡した。
奈美さんは「私たちのような家族が二度と出てはならない。高校生が同じようなことで亡くなってほしくない」と語った。
昨年の集会で教員が生徒に「緊急時には気付いた生徒がためらわずに通報しよう」と指導していたことを挙げ、「教員の意識が高く、命と向き合っていると感じた。今は竹田高ほど安全な学校はない」と述べた。
生徒が自殺する学校事故にも触れ「学校生活で『もう無理だ』と思った時は逃げ出していい。今は大きな出来事かもしれないが、長い人生の中で振り返れば、ちょっとしたこと。周りに相談してほしい」と語りかけた。
集会は2学期の始業式の後にあった。西村校長が「当時の常軌を逸した指導やそれを防げなかった竹田高には大きな過ちがあった。生徒が安心して生活を送れるようにしたい」とあいさつ。全員で黙とうをささげた。谷田拓海生徒会長(2年)が「正しい知識を持ち、熱中症への対策を図っていく」と宣言した。