【玖珠】玖珠町と町教委は、町出身で「日本のアンデルセン」と呼ばれた口演童話家・久留島武彦(1874~1960年)が新聞記者時代に執筆した記事をまとめた資料集を発行した。久留島が登場する記事を集めた2作に続く3部作の最終版。久留島武彦記念館の金成妍館長は「生誕150年の節目に完結編を出せた。郷土の先哲に興味を持つきっかけにしてもらえれば」と話している。
久留島は1898~1907年の10年間、神戸新聞や中央新聞など4社を渡り歩き、記者として活躍。前後の時期も寄稿の形で各紙に記事を書いていた。
資料集に収録したのは1896~1945年に計8紙に掲載された86本。台湾の東海岸を実際に歩いて初めて日本に紹介した記事や、挿絵も自身で描いた子ども向けコラムなどを紹介している。
「台湾の記録は民俗学としても貴重な資料。日露戦争中には掲載禁止になっても緊迫した情勢を伝え続けた。語りの人として知られる久留島の、書く人としての面が見えてくる」と金館長。
A5判・405ページ。記事は時系列に並べ、下段には現代語訳を付けた。200冊発行し、約100冊は県内の図書館や高校、町内の小中学校に寄贈。残りは1冊1万2千円(税込み)で販売する。同記念館でも読むことができる。
20年間、久留島の研究を続けてきた金館長は「知れば知るほど伝えたいことが出てくる。生身の久留島に迫る一冊を多くの人に読んでもらいたい」と話した。
問い合わせは同記念館(0973-73-9200)。