大分市で若手アーティストの2人展 長谷川さんとアゲロスさん「重なる時間」表現

合作のインスタレーション「クロノモルフェ」の前に立つ長谷川絢さん(左)とアゲロスさん=大分市のアートプラザ

 大分にゆかりのある若手アーティストを紹介するピックアップアーティスト展「クロノモルフェ」が、大分市荷揚町のアートプラザで開かれている。アートプラザの自主企画で、13回目の今回は竹田市の美術家長谷川絢(けい)さんと臼杵市のアーティストAGGELOS(アゲロス、本名フランソワ・ヘイロードさん)の2人展。長谷川さんの竹の彫刻作品10点とアゲロスさんのタロットカードの原画など103点、映像作品を展示している。25日まで。入場無料。
 長谷川さんは神奈川県出身。京都伝統工芸大学校で竹工芸を学び、2014年に竹田市へ。伝統技法を発展させた「筒束ね編み」を用いた彫刻作品を発表している。家族への思いや記憶など複雑な感情を形にして緻密に表現する。
 アーティスト、音楽家として活動するアゲロスさんはフランス生まれ。21年に臼杵市に移住し、妻とゲストハウスを営んでいる。西洋と日本の宗教観を融合させたオリジナルのタロットカードの細密な図柄は、黒と金色が基調。カードの意味をシンプルに凝縮して伝えるために色数を絞っているという。
 長谷川さんの竹のアートワークと、アクリルボードに刻んだアゲロスさんのオラクルカードの図版を組み合わせたインスタレーションもある。占いに使うオラクルのマークは、同じ絵柄でも色が違うと「自由」「閉塞(へいそく)感」のように反対の意味を持つ。今回はあえて色を付けず、見る人の感情を映し出すようにした。2人の対話から生まれた「互いの人間性」「アートとの距離感」「多義性」といった八つのイメージを内包してうねる長谷川さんの作品の中に、表裏一体の心を表すアゲロスさんのデザインが組み込まれている。
 2人展のタイトルは「時間」「変化、変形」を組み合わせた、フランス語由来の造語。展示に向け対話を重ねるうち、「時間は流れていくものではなく重なっていくもの」という考え方に共通点を見いだしたという。それぞれの時間の積み重ねによって現れた形が、違和感なく心地よく共存している。

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