選手の盗撮被害防げ! 全国高校総体に向け大分県内でも対策進む

陸上競技の大会会場に掲示されたポスター=6月29日、大分市西浜

 全国のスポーツ会場で性的な目的で選手を撮影する問題が起きていることを受け、県内の競技団体や県教委が対策に乗り出している。観客席の見回りや撮影禁止区域の設定をし、悪質な行為をしないようポスターで警告する。25日から県内で開催される全国高校総合体育大会(北部九州インターハイ)に向け「生徒が安心して参加できるよう、目に見える取り組みをしていきたい」と力を入れる。
 大分市西浜のジェイリーススタジアムで6月にあった全日本中学校通信陸上大分大会。選手が構えるスタート地点の背後や目の前などに、撮影禁止エリアが設けられた。
 陸上はユニホームや動作の特性上、撮影被害の対象になりやすい競技といわれる。スタンドには「アスリートへの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為です」と記したポスターが掲示された。
 大分陸上協会は、望遠レンズで写真を撮る人にビブスやIDカードの着用を求め、身元確認のため氏名、電話番号、所属の聞き取りもする。協会は「被害防止に向けて、中央組織の指導を仰ぎながら取り組んでいる」と説明した。
 北部九州インターハイの県内会場では開会を前に、選手を守るための準備が進む。県教委によると、会場内は報道関係者に腕章とビブスの着用を求め、一般の人と区別をつける。役員が観客席を巡回し、不審者には声をかける方針だ。
 中津、日田両市であるバレーボールは、選手が被害に遭いやすい競技の一つとされる。主に女子の試合がある中津市の実行委員会によると、性的な写真撮影の禁止を示すポスターを会場の目立つ場所に張る。一般の観客がフロアに立ち入れないように導線を設ける。
 別府市である水泳の飛び込みと、大分市で実施する水球は、一般観客席からの撮影禁止を決めた。
 これまで中高生などが参加するスポーツ大会は、出場した子どもを撮る保護者やチーム関係者が多いため、不審な動きをする人がいても声をかけにくかったという。
 県教委体育保健課は「関係機関と連携して被害者が出ないよう注意喚起をしていきたい」と話している。

■知らないうちに撮影され「不快感を覚えた」
 競技中に盗撮をされ、不快な思いをしたアスリートは数多くいる。立命館アジア太平洋大(別府市)2年の池間優さん(19)は、被害に遭った当事者として撮影禁止を呼びかける行動を起こした。「この問題をもっと広く知ってほしい」と話している。
 池間さんは中学・高校の部活で陸上の中長距離選手として活躍した。現在は大学でジェンダー問題を学んでいる。
 被害に気付いたのは中学生の時。動画投稿サイトのユーチューブに、自分や後輩の走っている姿が出ていた。知らないうちに撮られ、不特定多数の人から見られていたことに「不快感を覚え、とても嫌だった」と振り返る。
 高校時代、授業で校内の生徒にアンケートを取り、問題の認知度が低いことを知った。周知のため、撮影禁止を訴えるバッジを作成。自身も出場した駅伝大会で運営担当者に着けてもらい、多くの人に注目された。
 競技によって肌の露出が多いユニホームもあるが、「体の動きや空気抵抗を重視して作っているため」と性的な意図を持って撮る行為を非難。「カメラを持っておかしな動きをしている人はいないか、周りの人たちも気を配って見てほしい」と希望を述べた。

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