帰省シーズンにもかかわらず、学校の中で新年を迎えることになった立場の違う3人が絆を深めていく人間ドラマ。
1970年冬、米ボストン近郊にある雪に閉ざされた寄宿制の私立男子高が舞台。古代史教師のハナムは、厳格で融通の利かない性格のために同僚や生徒から煙たがられている存在。彼はクリスマス休暇の期間、さまざまな事情で家族の元に帰ることができず学校にとどまっている生徒を監督することに。
休暇から数日が過ぎ、校内に残ったのは家族との関係に悩む生徒アンガスと、ベトナム戦争で一人息子を失った料理長のメアリーだけ。反抗的なアンガスは、ハナムに悪態をつきながら校内を逃げ回ることも。彼らはどんな冬休みを過ごすことになるのか…。
それぞれの理由から孤独を感じている3人。同じ時を過ごすことで理解し合い、愛着を持ち、家族のようにまとまっていく姿を丁寧に描き出す。ハナムやメアリーが見せる優しさや悲しさ、アンガスが持つ思春期ならではの繊細さが交差するストーリーは、ユーモラスでさわやか。前向きになれる一本だ。
作品からは70年代の「空気感」が漂ってくる。当時の演出技法を用い、35ミリフィルムの風合いに近づける映像処理など、往年の名作を見ているかのような工夫が加えられていて面白い。
シネマ5で20日(土)~26日(金)の午前10時半。20~22日は午後7時50分からも上映する。(この日程以外も上映あり)
◇ ◇ ◇
「大分合同新聞ムービーアワー」は厳選した映画をお届けするプロジェクト。テーマや話題性を吟味した作品を週替わりで上映します。